今週の一週一言 6 月15日~24日 噂とはいいかげんなものだ。たいていの噂の方がよくできている。 映画『ワイアット・アープ』 『ワイアット・アープ』・・・ローレンス・カスダン監督、制作、脚本による1994年のアメリカ映画。西部開拓時代の保安官であるワイアット・アープをケビン・コスナーが演じている。 【如是我聞】 「噂とは口へんに尊ぶと書くが、あんまり尊ぶようなことは言わんもんや…」 上方落語『つる』の冒頭で、甚兵衛はん ( 「じんべはん」と発音。ご隠居さん的な人物 ) が訪ねてきた男に「 ( 若いものの間で ) アンタの噂が出てましたで」と言われたときに返す一言である。噂というものの本質を射抜いた言葉であろう。 自分の噂が気にならない人はいないと思うが、甚兵衛はんの言うとおり、たいていは「尊ぶ」ようなことは言われていないと考えておいて間違いはない。噂とは「その場にいない人についてあれこれ話すこと」だから、話す人のほうに遠慮はない。当人の前では話せないようなことでも、おかまいなしである。自分が誰かの噂ばなしをしているときを思い起こしても、「あの人は実に立派な人で…」なんてことはまず言っていない。(ちなみに、甚兵衛はんは「盗人かもしれん」と言われている始末である。) ただ、噂というものはすべて真実が語られているかというと、そんなことはなさそうである。その場限りで無責任に語られることが多いだけに、根拠が薄弱な場合も少なくない。話を面白くするために、いわゆる「盛る」ことが行われることも珍しくなかろう。あまり噂を鵜呑みにするのは考えものである。(かの山本リンダ女史も昔、「噂を信じちゃいけないよ…」と歌っていたではないか!) これもある落語に出てくるセリフに、「馬には乗ってみい、人には添うてみい」というのがある。人というものは、第一印象だけではわからないものだ。初めは取っつきにくいと思っても、付き合ってみると案外そうではなかったなんてことがよくある…というほどの意味かと思うが、やはりその人の値打ち、真価というのは ( 当然のことながら ) 深く知り合ってみないとわからないということだ
大谷中学高等学校 (※著作権の関係上、WEBについては毎週掲載とならないことをご了承ください。)