一週一言インデックス

2022年9月29日木曜日

If one does not know to which port one is sailing, no wind is favorable.

今週の一週一言

9月26日~10月2日

If one does not know to which port one is sailing,

no wind is favorable.

(もしどの港に向かって進んでいるのか分からなければ、好ましい風などない)

セネカ

ルキウス・アンナエウス・セネカ

 紀元前1年頃~65年。ローマ帝政初期の政治家であり、ストア派の哲学者。第5代ローマ皇帝ネロの幼少期の家庭教師としても知られる。

如是我聞

 祖母がホームでしゃがんでいたので、上着をかけてあげたら、青いかけらになってはじけ飛び、たくさんのかけらはすぐそばの茂みの下にもぐりこんでいった。そのたくさんのかけらは、祖母の粘り、エネルギーの大きさ、評価を求めない潔さ、苦労話を言わないことの偉大さ、そのもので、塊みたいにぐわっと迫ってきたのだった。

 場所は、海の中。

 という夢をみて目覚める。少し、だるい。海の中にいたからだろうか。

 夢は毎日見るが、祖母が出てきたことは今までなかった。だからこそしばらくぼんやりする。

 少しずつ目覚めてきて、自身のセンサーが発動し、すぐさま祖母に会いに行かなければと思い、実家に電話をする。

 「昨日、会いに行ったけど、いつもと変わらなかったよ。平日に無理に帰って来る必要はないよ。」と母に言われ、行くのはやめた。

 その日の晩に祖母は亡くなった。

 死は恋愛の別れといっしょで、ああしていればこうしていればが必ずあるし、しばらくは頭がそのことだけでいっぱいで、いつも自分のトーンを薄暗く支配している。先週の今頃はまだいた、先月の今頃は会っていた、そんな気持ちでしかカレンダーを見ることができないのも似ている。あの時に戻れるならなんでもするのにな、と思うところも似ている。

 普段、私はあまり揺れない。誰が作ったのかも分からない規定のルールに沿うのではなく、自分の信じる道を自分で決めて歩いていくタイプだと自負しているにも関わらず、突然とんでもなくコンサバな自分が顔を出すことがある。つまり、「より多くの人が右を選んでいるのだから、やはり自分も右に行くほうが安全なのではないか」という考えに支配されそうになる。ただ、「その道こそが素晴らしいと思っているわけでは全くない」ので、自分の中にあるダブルスタンダードに引き裂かれそうになる。が、正解が分からないのでそのままグラグラ揺れてしまう。

 上記以外で人生で経験した二度の大揺れ。

 一度目の時の私の悩みは「結婚」。

 二度目は「子どもの教育」だった。これに関しては小さな揺れがしばしばやってくる。

 子どものときから、人間は自分の中にあるセンサーで生きている。ここでは働かないや、ここに行きたいなど。

 自分の中でセンサーが働いていることを何で判断できるかというと、違和感だけしかない。だから、仕事でも寒い中、薄着でも楽しい時もあるし、暖かくても居心地の悪いことがある。自分の中でしかセンサーがないので、それを大事にしたほうがいいと思っている。

 決断力というかセンサーが鈍っている、自身がぐらぐら揺れていると思ったときは何もしないというのが一番大切だ。忙しかったり、疲れていたり、おもねってみたり、とにかくキレが悪い感じに似ている。

 例えば、衣替えはしない、など。そんな時は衣替えは失敗する。理由は分からないけど、そんな気がする。間違ったものを捨てたり、間違ったものを残したりしてしまう。

 本来の自分ではない感覚がするというか。何か、どこか違うこととは、今ここでするべきではないこと。「そんな時は何もせずに眠る眠る〜」と大好きな民生さんの「すばらしい日々」を口ずさみながら、ズレはじめていた自分の「軸」が、もとの場所へと戻ってくるまで何もしない。

 よく感じてみて、体が向かないことは向くまでしない、できないがやらねばならないことはさくさくやってその場の楽しさを見つけてなるべく早く子どもに会いに帰る。深く考えすぎてこりかたまったものは、もし時間がたってゆるんできたらさっさと手放して今をエンジョイすることが私の信条だったりする。

(国語科 須藤か)





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2022年9月6日火曜日

世の中は美しい。それを見る目を持っていればね。

今週の一週一言

9月5日~9月11日

世の中は美しい。それを見る目を持っていればね。

聖メリーの鐘

聖メリーの鐘

 1945年に公開されたアメリカ映画。経営難に陥っている「聖メリー教会」に赴任してきた司祭が、教会とその付属学校を再建するまでを描く。

如是我聞

「世の中は美しい」、たぶんそうであると思う。理由は、普通に生活をしているほとんどの場合、「不便で、とてもじゃないけど、生活できない!」とはならないからだ。学校でも、レストランでも、コンビニでも、みんな大好き東京○○ランドでも、人々は働き、工夫を重ね、私たちは豊かな生活を享受している。角度を少しだけ変えて世の中を見渡せば、私たちの生活の一つ一つに、人々の知恵や努力があり、世の中は真に整然と回っていることが分かる。そう、「世の中は美しい!」のである。

そんなことは誰でも分かっている。分かっちゃいるけど、どうしても「世の中は美しい」と思えない時がある。それはつまり、自分の調子が悪い時である。怪我をしたり、病気になったり、誰かに怒られたり、予定がくるってしまったり、人間関係が上手くいかなかったり、etc…。世の中自体はさほど大きく変わっていないのに、暗く、「もう自分の人生おしまいだ!」、なんて思ってしまう時がある。そう、私たち一人一人は、きっと「心のフィルター」を通して、世の中を見ているのだと思う。だから、この「心のフィルター」がクリーンな時(調子の良い時)は、世の中が美しく見え、「心のフィルター」が汚れてしまっている時(調子の悪い時)は、世の中がくすんで見えてしまう。そして、やっかいなことに、この「心のフィルター」は非常に汚れやすいので、きめ細やかなお手入れをしなければいけないようだ。注意:大変申し訳ありませんが、「心のフィルター」に全自動クリーニングシステムは搭載されておりません。各自での定期的なクリーニングをお願い致します。「心のフィルター」のお手入れの時期、方法については各自において異なりますので、ご了承下さい。また、「心のフィルター」の交換につきましては致しかねます。

「世の中自体は美しい」、たぶんそうなんだろう。こんなにたくさんの人間が、何百年、何千年と命をつなぎ、よりよい世界を作りたいと望んできたわけであるから、世の中が美しくないはずがない。せっかく人間として生まれてきたんだから、生きている内に、「世の中は真に美しい!」、と何度かは感じてみたいものである。

(英語科 増本)





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内に目をむければむけるほど 外の世界が広がってくる 不思議な目

一週一言 9 月 4 日~ 9 月 10 日                                   内に目をむければむけるほど 外の世界が広がってくる 不思議な目 鈴木章子    鈴木 章子 ( あやこ ) ( 1...