一週一言インデックス

2021年11月25日木曜日

人間は、 自分が幸福であることを知らないから不幸なのである。

今週の一週一言

                                  1122日~1129

人間は、

自分が幸福であることを知らないから不幸なのである。

              ドストエフスキー

フョードル・ドストエフスキー(1821-1881

 ロシアの小説家・思想家。代表作に『罪と罰』や『白痴』・『カラマーゾフの兄弟』などがある。アインシュタインやフロイトなど、文学者以外からの評価も非常に高い。

【如是我聞】

 自分がしあわせ(幸福)かどうかというのは、結局のところ自分の気持ち次第だなあと思う。そういう意味でドストエフスキーのことばはおっしゃるとおりである。ただ、言いまわしについては引っかかるものがある。あくまで日本語訳としてではあるが、おおむね、ドストエフスキーが今週の一週一言のような言い方をしていたのだとすると「人間は不幸なのだ」という結論づけをしているように感じる。はたして人間は不幸なのだろうか。むしろ「人間は自分が幸福であることを知ったとき、幸福になる」といったほうが良いのではないだろうかと私は考える。

 ほとんど同一の内容を言っているようであっても、あるいはまったく同一の内容を言っていても、その受けとめ方や伝わり方、個々が感じる印象が異なってくる場合は多い。ともすれば、同じことを言っているようでいて違う内容を説明しているということも起こりうる。

 たとえば「Xは『5』を除くすべての実数である」というのと「Xは5ではない」というのは同じことだろうか。「虚数」を含むかどうかによっても変わってくるにせよ、後者の言い方は説明として不十分ではないだろうか。

 また『鬼滅の刃』に出てくる「吾妻善逸」は、しばしば「肝心なとき以外には役に立たない」と言われるが、彼を「肝心なときには役に立つ」と評しても良いのではないだろうか。前者の言い方では「普段、役立たず」というディスリスペクトになるが、後者では「頼りがいのある人」というリスペクトになるだろう。

 そんなことを考えていると「なあんだ、ドストエフスキーも同じ人間。見方によっては、彼は自分のなかの中学2年生を引きずっているだけなのかもしれないね」といった、ある種、温かい気持ちで彼のことばを捉えることができるかもしれない。などと、ロシアを代表する文豪に対してなんと失礼なことをいうのか。そんな私は、今日もしあわせに暮らしている。

 

                           (文責:国語科 小塩)





>>> トップページへ http://www.otani.ed.jp

内に目をむければむけるほど 外の世界が広がってくる 不思議な目

一週一言 9 月 4 日~ 9 月 10 日                                   内に目をむければむけるほど 外の世界が広がってくる 不思議な目 鈴木章子    鈴木 章子 ( あやこ ) ( 1...