今週の一週一言
9月30日~10月5日
「今正しいことも、数年後間違っていることもある。
逆に、今間違っていることも、数年後正しいこともある。」
ライト兄弟
兄ウィルバー・ライト、1867年生まれ。弟オーヴィル・ライト、1871年生まれ。自転車屋をしながら兄弟で飛行機の研究を続け、1903年に有人動力飛行に世界で初めて成功した。
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【如是我聞】
「機械が飛ぶことは科学的に不可能」とされていた時代に動力飛行機の開発に取り組んだライト兄弟のことばだけに、真実味がある。
彼らは「機械が飛ぶことは間違っている」という当時の科学者やジャーナリストたちの主張をくつがえし、間違っていると決めつけられていた自分たちの理論の正しさを証明した。出典までは調べていないが、信念を貫くことの大切さをこのことばに込めたのかもしれない。
しかし、ライト兄弟の偉業からこのことばだけをとりはずして味わってみれば、「絶対の真実などない!」というようにも読めるような気がする。「正しさ」とは時代によって、地域によって、人によってうつろいゆくものだ、ということだ。
果たして飛行機の発明は正しかったのか?
飛んだ、という「正しさ」はあったかもしれない。でも、発明後の飛行機が行なってきたことを考えると、利便やロマンの背後に、多くの殺戮や環境破壊がなかったか…、それは「正しい」ことだったか?!
そう考えると、人類の歴史は〈真実追究〉の歩みであると同時に、〈後悔の積み重ね〉によってできていると言えるかもしれない。
いやいや、人類の…なんて大きくでる必要はない。振り返ってみる自分の半生だけでそのことは証明できそうだ。
「今間違っていることも、数年後正しいこともある」と信じて生きるしかない自分がいる。「今正しいことも、数年後間違っていることもある」と迷う自分もいる。私にとっては、「正しさ」とはあやういものだと心に刻みつけるために、このことばが必要なのかもしれない。
文責:社会科 佐藤 博之