一週一言インデックス

2024年2月20日火曜日

執着から欲望が生じ、欲望から怒りが生じる


今週の一週一言

月12日~2月18日

執着から欲望が生じ、欲望から怒りが生じる

『バガヴァッド・ギーター』

バガヴァッド・ギーター

 韻文詩からなるヒンドゥー教の聖典の一つ。「ギーター」とはサンスクリットで詩を意味し、バガヴァンの詩、すなわち「神の詩」と訳すことができる。

「執着」「欲望」「怒り」。この言葉のラインナップ、どうしてもネガティブな印象を受ける。

特に最後にたどりつく「怒り」は中でも一番良くないもの、という解釈だろうか。ヒンドゥー教の言葉だそうだが、日本にも「短気は損気」という戒めの言い回しがある。

確かに、私自身これまで無意識に「怒り」の感情を遠ざけてきた。「喜怒哀楽」のうち、「喜」「楽」はいいけど、「怒」「哀」はあからさまに人に見せてはいけないのではないか、特に「怒」は・・・なんとなく、そんなふうに感じていた。

しかし、最近よく耳にする「アンガーマネジメント」に関する本を読み、怒りに関するこれまでの認識を変えなければと考えるようになった。以下、本で紹介されていたアンガーマネジメント理解度チェックです。よかったら「YesNo」で考えてみて下さい。

 

1、怒ることは悪いことだと思う       

2、イライラしやすい人は、性格を改善する必要があると思う

3、怒りはいきなりバクハツすると思う 

4、怒りはドカンと出してしまえば、ずっと残らないと思う

5、怒りは身近な人に限らず、誰に対しても強く出ると思う

 

いかがでしょうか。答えは全て「NO」です。

「怒り」は自然な感情で、誰にだってあるもの。それを無理に押さえ込むことで自分をかえって傷つけることがある。また「怒り」とは二次感情であり、「不安」「悲しみ」という一次感情がもとになって生まれることなどが本に書かれていた。

「怒りは忌むべき感情だ」私は無意識のうちにそんなふうに考えていたが、なぜなのだろう?家庭で、学校で、社会で、知らず知らずのうちにもしもそう思わされていたとしたら?

以前、ある母親の、怒りに満ちたSNSでのつぶやきが待機児童の問題を顕在化させたことがあった。「保育園落ちた 日本○○!!!」過激な一言だが、もとになっているのは、仕事ができないという悲しみや不安かもしれない。そして、「こんな日本であっていいはずがない!」という思いが、同じ悩みを抱える人を連帯させ、社会を良い方向に導いた。

「記憶にない」「裏金ではない」という言葉を繰り返すだけで、難局を切り抜けられると考える人たちを目の当たりにする今、私たちは、社会を良くするためにも「正しく怒る」ということにきちんと向き合わなければいけないのかもしれない。

(国語科 三上)                                                                               





>>> トップページへ https://www.otani.ed.jp

2024年2月7日水曜日

もう終わりだと思うのも、 さぁ始まりだと思うのも、どちらも自分である。

今週の一週一言

月5日~2月11日

もう終わりだと思うのも、

さぁ始まりだと思うのも、どちらも自分である。

フェデリコ・フェリーニ

フェデリコ・フェリーニ(19201993)

 イタリア生まれの映画監督。「映像の魔術師」の異名を持つ。小説の挿絵画家、新聞の寄稿、ラジオ・ドラマの脚本などさまざまな職業を経て、脚本家として映画界入りを果たした。

【如是我聞】

ゲームのキャラクターはコンティニューを選ぶことが出来る。何度やられても立ち向かうチャンスをくれる。だから様々な選択肢からいくつも試すことが出来る。実世界で覆すことが出来ない結果を目の当たりにしたとき、もちろんコンティニューは出来ない。受験で失敗した、試合で負けた、絶望を感じて「終わった」と思うとき、立ちはだかる言葉はゲームオーバーなのだろうか。

中学、高校、大学と競泳に打ち込んでいた私は、いいタイミングで怪我に悩まされていた。

中学では体が成長してタイムも伸びて、これからだという時に両足の太ももの肉離れを起こした。すぐには治らないため、満足な練習が出来ず、その年の結果は散々だった。大学は、ハイレベルな環境で体に鞭を打ちながら取り組んでいると、三年目に膝を痛めた。普段の生活にも影響が出る痛みで、満足に力を入れることが出来ず、最後の一年は思うようにいかなかった。怪我をした時はかなり落ち込んで、中学の時のショックは高校に入っても引きずった。絶望の淵に立たされている私をみて、周りはいつも笑顔で接してくれた。怪我をした時も、タイムが悪い時も、いつも決まって「とりあえず楽しんでこう」と言ってくれた。最初はすぐに受け入れることは出来ず、自暴自棄になっていたこともあった。それでも周りの人はいつも笑顔で、楽しめるように声をかけてくれた。かけてもらった言葉はどれも、絶望に至った道を振り返るものではなく、これからを明るく照らしてくれる言葉だった。言葉の意味が理解出来ると、私も次第に笑顔になり、絶望を受け入れることが出来た。今考えても、恵まれた環境に身を置くことができ、周りの人々に支えられて今の自分がいるのだな、と思う。本当にありがとう。

 覆すことが出来ない現実を目の当たりにすると、目の前に浮かぶ文字はゲームオーバーなのかもしれない。もちろんコンティニューは出来ず、どうすることもできない。ただ、壁にぶつかって後戻り出来ずとも、T字路のように横道はいくらでもある。横道のその先にも様々な分岐が待っている。私はその中から一番楽しそうな道を選ぶようにしている。どの道を選んだとしても後戻りは出来ず、また壁に当たることだってある。だったら一番楽しそうな道を選んだ方がいいじゃないか。そう思うと、終わりは次の楽しい道を探す始まりなのかもしれない。選んだ先が険しい道のりであったとしてもどうせ後戻りは出来ないんだ、とりあえず楽しんでこう。

(数学科 朝山)





>>> トップページへ https://www.otani.ed.jp

内に目をむければむけるほど 外の世界が広がってくる 不思議な目

一週一言 9 月 4 日~ 9 月 10 日                                   内に目をむければむけるほど 外の世界が広がってくる 不思議な目 鈴木章子    鈴木 章子 ( あやこ ) ( 1...