一週一言インデックス

2014年1月29日水曜日

教訓はどこにでも転がっているさ あなたが見つけようとさえすれば

今週の一週一言
 127日~22
教訓はどこにでも転がっているさ
あなたが見つけようとさえすれば
                      ルイス・キャロル
ルイス・キャロル(18321898・・・イギリスの童話作家、数学者。著作『ふしぎの国のアリス』(1865)および『鏡の国のアリス』(1872)は、いずれも少女アリスの奇想天外な冒険を綴った空想物語で、児童文学の傑作として世界中で愛読されている。

【如是我聞】
 最近、偉人の格言や名言をまとめた本が書店で積み上げられているのをよく目にする。“ふーん”と読み流してしまうような訓戒めいたものもあれば、“ハッ”と何かに気付かされるもの、なかには、「落ち込んだときに」などとジャンル分けされているものまである。しかし、この類のものは、なにも現代にかぎり、流行っているわけではない。言葉の力とは不思議なものである。魅力的な言葉は繰り返し唱えられ、保存されていくし、フランスのモラリスト、ラ・ロシュフーコーや、アメリカのジャーナリスト、ビアスのように、みずからの言葉を箴言(しんげん)や警句としてまとめあげ、世に出す場合もある。
 しかし、私はふと思う。自分は、すでに誰かに生み出された言葉、そして知識としての教訓に満足してはいないだろうか。本来教訓とは、何かしら、自身の経験から生み出されるものである。他人の心を惹きつけなくともよいし、響きがよい言葉である必要もない。だが私たちは、故事成語にしろ、格言にしろ、便利な言葉を知りすぎている。もちろん、一生かけても自分で気付けないことはたくさんある。そういった部分を他人の教訓で補うのは、視野が広がる良い機会である。とはいえやはり、自身の経験から生み出された教訓ほど、自分にとって強烈なものはないだろう。他人の言葉、使い古された教訓は、なるほど私の場合にもあてはまった、昔の人はまったくいいことを言ったものだ、と感心するだけである。
 たいてい人は、大失敗をしてから何かを学ぶ。高校生の頃、英語の予習は余裕をもって準備し、授業に臨んでいた。大学生になると、多忙になり、最後のページまで訳しきれないまま史料講読の授業を迎えた。肝が冷えるほど、冷やひやしながら授業を受けた。でも、なんとかなった。なってしまった。・・・ギリギリを、繰り返すようになった。そして、卒業まで、そのままなんとかしてしまった。今でもときおり思う。いっそのこと、あのとき大恥をかいていた方が何か変わったのではないか。それとも…。
 本当に人は、大失敗をしてみないと何も学べないのだろうか?ビアスは「格言」について、「民間で行われている陳腐(・・)()言い習わし」(『悪魔の辞典よりと説明した。自分にとって陳腐でない教訓を、大失敗せずとも見つけることができたらいいのだが。

(文責:社会科 草地)


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