今週の一週一言
10月24日~10月30日
いかなる教育も 逆境に及ぶことなし
ベンジャミン・ディズレーリ・・・1804~1881 イギリスの政治家。2度首相を務める。
原語は「There is no education like adversity」
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【如是我聞】
私が小学生だった頃、当時大人気だった某テレビアニメが楽しみだった。私の周りの友だちやクラスメイトたちの間では週一回のそのアニメが放映されると、男女を問わず必ず翌日の朝はそのアニメが話題になっていたほどだった。少年漫画雑誌に掲載されていたその漫画はテレビ放映に内容が追いつかれつつあり、途中からテレビアニメの方は明らかに引き延ばしの感があったのが子どもながらに残念ではあった。
さて、この言葉を聞いたとき真っ先に私の頭に思い浮かんだのがこのアニメ(漫画)であった。このアニメの主人公は次々と強い敵と戦い、何度もピンチに見舞われ、瀕死の状態になりながらも友のため、地球のためと限界の力を超えてギリギリのところで勝利する。その経験を何度も積むうちにいつの間にか主人公はどんどん強くなっており、気がつけばアニメ開始当初では想像もつかないくらいのツワモノとなっていた。それでも私たちはその主人公を通して逆境をくぐり抜けるたびに成長していくということを知った。
今から思えば当時、似たようなヒーロー、ヒロインアニメがいくつかあったように思う。詳しくは知らないが現在でもあるのかもしれない。そうしていつの間にか「つらいことがあっても乗り越えたらそこには一段階上の自分を獲得できる」という観念が刷り込まれたように思う。実際、私自身もそうだった。部活動でつらいとき、勉強がつらいとき、人間関係がつらいとき……社会人になってもそうだ。きっとこのつらさを乗り越えたら次はこれくらいのことは何ということなく乗り越えられるようになっているに違いない。そう思ってやってきた気がする。
教育という仕事に携わるようになり、まさに「逆境」に負けずに努力した生徒が驚くほどの成長を遂げるという瞬間を目にしてきた。クラブ活動で悔し涙を流した生徒が数ヶ月間で予想以上に技術が上達したり、テストで「自分にはもう後はない」と覚悟を決めた生徒がそれまでとは別人のように勉強に向き合って成果を上げたりと、それはこの仕事に就いて嬉しいと感じる瞬間である。逆に悲しいことに私たち教員がいくら言葉を尽くして「がんばれ」「努力しろ」と言っても、受け取る側にその意志がなければ成長はない。
自分を成長させるのに大切なのは、逆境に不満や文句を言うよりも逆境に立ち向かっていく気概を持つことなのだ。
(国語科:須田)
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