今週の一週一言 2 月9日~2月22日 人生は不安定な航海だ ウィリアム・シェイクスピア( 1564 ~ 1616 ) … イングランドの劇作家、詩人。イギリス・ルネサンス演劇を代表する人物。卓越した人間観察眼からなる内面の心理描写により、最も優れた英文学の作家とも言われている。4大悲劇『ハムレット』・『マクベス』・『オセロ』・『リア王』をはじめ『ジュリアス・シーザー』・『夏の夜の夢』など多くの傑作を残した。 【如是我聞】 シェークピアといえば、『リア王』・『ハムレット』・『ヴェニスの商人』など、その作品は数多あり、その才能には限りがないように思える。 その有り余る才能の中で、「人生は不安定な航海だ」という言葉を残している。この言葉で、わたしが思ったのは、彼もさまざまなペルソナをもって生き抜いたんだな、ということ。 彼の時代は、「ゴールデン・エイジ」とよばれるエリザベスⅠ世の時代で、政治・社会・経済とあらゆる活動がめまぐるしく変化した時代である。その中で、演劇という世界で自分を活かすためにあらゆる方面にさまざまな顔を見せなければならなかった。決して自分の純粋な心を開くだけでは、生き残れない時代であった思う。 このシェークスピアの言葉を、現在の動きにあわせて解釈すれば、資本主義経済活動のなかで、毎日、自己の欲望を隠しながら、わずかな人々のために、日々搾取の対象と知りながら自己の肉体・知識を酷使し労働に励む者にとって、明日という日は見えていて見えない、それが連続して人生を形成する、ということになろうか。 ひとは、他人を気にしながら自分の欲を満足させようとする。そのために、その欲を見られないように仮面をかぶり生きていく。仮面をかぶりながらも他人との接触を求める。さまざまな情報端末を駆使して、グローバルなつながりを求める。しかし、そのつながりは互いに仮面に隠されたつながりであり、決して心がつながっているわけではない。 こうした世の中を生き抜くために、ひとはどこかでオアシスを求める。 そのオアシスとは何だろうか。 あるひとは、純粋な愛と慈愛ではないか、という。 そんなオアシスに出会ってみたい。 (社会科:熊木 哲) トップページへ
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