一週一言インデックス

2020年9月30日水曜日

人は毎日髪を整えるが、どうして心は整えないのか

今週の一週一言

                                   24日~830

人は毎日髪を整えるが、

どうして心は整えないのか

チェ・ゲバラ

チェ・ゲバラ(1928-1967

 本名はエルネスト・ゲバラ。アルゼンチン生まれでキューバ革命の指導者。「チェ」とは、スペイン語で「ねぇ」や「やぁ」などの呼びかけにあたる言葉に由来するあだ名。

【如是我聞】

チェ・ゲバラといえば、キューバ革命の英雄で、長髪のぼさぼさ頭に髭と葉巻。ワイルドでかっこいい男のイメージしかない。それが、あの優等生ヴィジュアルのサッカー日本代表キャプテン長谷部誠と同じようなことを言っていたなんて!…いやでも、オダギリジョー主演の「エルネスト もう一人のゲバラ」という映画のなかで、ゲバラはもの静かなインテリといった雰囲気だった。あの風貌は、心を整えているから髪を整える必要がなかっただけなのか…。

なんとなく裏切られたような気分になるのは、私が、外見のイメージに引っ張られて、中身も決めてしまう凡人だからなのです。だから、毎日心ではなく髪を整えてしまうのです。心を整えても人から見えないので、せめて見た目だけでも人からよく見られようと思ってしまうのです。すみません、ゲバラさん。

一昔前、「服装の乱れは心の乱れ」なんていう先生が当たり前にいました。たしかにそういう面もあります。ただ、そんなに単純ではない場合もあります。でも、見た目と内面がリンクしていると考えるほうがわかりやすい。誰かにそう思われたい自分になるために、髪を整え、服を選ぶ。そうしているうちに、そう思われたい自分が手に入るならそれでいいじゃないですか。髪を整えたら、心も整う、そういうこともありますよね、ゲバラさん。

私はあるとき、白髪を染めている自分は本当の自分の姿を知らないんだという当たり前のことに気づいて、髪を染めるのをやめました。すると、私の内面は変わっていないのに、「そんな大きな子どもさんがいるようには見えませんね」「いつも元気ですね」だった周囲の反応が、「老けたね」はもちろん、「お孫さんは何人?」に変わりました。そして、そのことに少なからずショックを受けた自分にショックを受けました。見た目と内面を結び付けると人を傷つけることがある。でも、傷つくのはわかりやすいそのイメージに自分も取り込まれているからだと。私は髪を整えなかったとしても、心も整いそうにありません。心が整っていたから、あのぼさぼさのヘアスタイルはあんなにかっこよくみえるのでしょうか。人からどう見られるかではなく、自分の心をしっかり見つめることが大切、それはわかっているのです。でも、ゲバラさん、自分の心は整っているから、外見など構わない、という孤独を私は引き受けられそうにありません。そのかわり、せめて、目に見えない部分を想像すること、自分が見ていないことがあることは忘れないようにしたいと思います。

そういえば、ゲバラの肖像がパッケージ書かれているたばこを、ぼさぼさ頭の息子が気取って吸っていた。あいつは毎日心を整えているのだろうか。二学期、頭髪検査に引っかかっているあの生徒も、もしかしたら心は整っているのかもしれないなあ…。

(国語科 春日)





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