一週一言インデックス

2017年2月13日月曜日

愛ゆえに人は悲しまねばならん 愛ゆえに人は苦しまねばならん

今週の一週一言
                                  2月13日~2月19日
愛ゆえに人は悲しまねばならん 愛ゆえに人は苦しまねばならん       サウザー
漫画『北斗の拳』のキャラクター。孤児であったサウザーは,南斗鳳凰拳の伝承者オウガイに拾われ,本当の父親のように愛情を受けて育つ。最後の試練において目隠し状態で、襲ってくる男を倒すように指示される。実はその敵とはオウガイ。自ら愛するオウガイを殺してしまったその悲しみから,彼は愛情を捨てることを決意するのだが,愛情を捨てきれない。自分を祭るピラミッドを子どもたちを使役して建設するが,子どもを殺すことはない(大人は平気で殺す)。またピラミッドの本来の目的はオウガイを祭るものだということが最後にわかるのである。サウザーは,作中で最も愛と情を求めた人物なのであった。サウザーの名言には,「退かぬ,媚びぬ,顧みぬ」というものもある。負け戦でも最後まで認めなかった時の言葉。                   
【如是我聞】
母方の祖父のことを好きではなかった。なんでも仕切りたがる人で自分中心でなければ嫌な人だった。小学生だった頃,夏休みには旅行に連れて行ってくれたが,修学旅行状態で,引率の先生=祖父,と言った感じだった。家族で楽しむ旅行ではなかった。正直そういったルールとかに付き合うのが面倒くさかった。また,自分の武勇伝や,自分の不幸話を,何度も孫に語る。そして長い。これも嫌だった。他にも別の孫に対する贔屓がひどいとか,そういう理由もあって,だんだん会うのが嫌になり,仕方なく行く新年の挨拶くらいしか会うことはなくなった。
そんな気持ちが変化したのは,大学に入ったくらいだったと思う。新年の食事会で,例によって祖父が大演説を始めると思ったら,突然泣き崩れたのである。自分の老いに対しての不安に押しつぶされた様子で,自分の死がそろそろ迫ってきていることに対して,耐えきれず,死にたくないと泣く。弱さ丸出しで,今までは包み隠そうと必死で生きてきたのだな,と気づいた。そして今まで聞かされた語りは,自分を隠す虚勢だったんだろう。非常に上からの感情だが,祖父の弱さを受け入れようと。そう思った。
祖父は小さいときに,貧しさもあって両親からの愛情をあまり受けなかったらしい。その経験が,常に不安を感じる性格になったようだ。特に死への不安は強烈だった。小さい時,親戚の死に直面して,自分の命を半分あげてもいいから救ってほしいと願ったそうだ。その半世紀程前の記憶を,私に何度も語った。そこにはかつて偉そうにしていた面影はなかった。
実際に祖父が亡くなるまでは,もう暫くの猶予があった。ループするように同じ話が多かったが,沢山聞いた。他の従兄弟たちは面倒くさがっていたが,私はこれが祖父にしてあげられる最後の孫としての仕事だと思っていた。祖父の自分の弱さを隠し自らを誇示するところを,最後は孫として受け止めてあげられたんじゃないかと思う。
ところで,今うちの娘たちは私の父と母のことが大好きで,「じじのとこいくー。」一人で泊まりに行ったりする。私の祖父との関係に比べれば,甘いにも程があるスィートな関係である。祖父の経験を反面教師的に踏まえているようで,孫に対して嫌われないためか,かなり甘い。「退くし,媚びるし,顧みる。」溺愛である。                           (社会科 今堀)




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