一週一言インデックス

2019年9月13日金曜日

どうしやうもないわたしが歩いてゐる

今週の一週一言                   9月2日~9月8日
どうしやうもないわたしが歩いてゐる
 種田山頭火(1882-1940)…山口県生まれのの俳人。1925年に曹洞宗の寺で出家得度した。
【如是我聞】 
昔、ラジオでこんな話を聞いた。ポップスでもロックでも、たいてい1曲の長さは3分から4分、長くて5分である。なぜか?ラジオで曲をかけられる時間がたいてい1分数十秒である。販売者側、ミュージシャン側にとってみれば、その時間で曲の「一番美味しい」ところ(サビ)まで流れないと、リスナーに対する宣伝効果が無くなってしまうからだ。それを聞いたとき、なるほど世間の曲はみんなそうだなぁと思った。同じ頃に出会った曲がある。Led ZeppelinStairway to Heaven(天国への階段)である。多くの曲が5分以内でAメロBメロサビの繰り返しであるのに対して、この曲は8分超の大作に加え、AメロBメロCメロ→…と、まさに天国へ階段をのぼっていくかのごとく展開を続けるのである。ラジオの宣伝効果などまだそれほど考えられていない時代だったからかも知れない。が、この曲に「自由」を感じた。「何かに束縛されて作り上げる芸術はロックではない」と。
高校生のとき、国語の時間に同じような経験をした。俳句を扱った単元で、教科書にこんな句があった。「歩きつづける彼岸花咲きつづける」種田山頭火の句である。「えっ?どこが俳句なん?」五七五しかないと思っていたので、自由律というものを初めて知った。五七五と思っている私にとって全然俳句という感じはしないのだが、いつこの句を見ても、脳裏には赤い花の群生する様子がとても鮮やかにうかんでくる。とても好きな句である。
山頭火の句でこの文章を書くにあたって少し調べてみた。山頭火の人生は小さい頃から良いことが無く、うまくいかないことばかり。あるとき未遂に終わるものの自殺を図り、その後出家して禅寺へ入る。これが人生の転機となり、旅をしながら俳句を作り続けるようになる。どうやらこの旅も一筋縄ではなかったようだ。結局、生涯、人生に迷い続けていた人なのかも知れない。
山頭火に限らず、誰しも人生に迷うという瞬間があるのだろうと思う。今年、私は山頭火が自殺未遂をしたのと同じ年になった。偶然この年にこの文章を書くことになったので、山頭火や昔好きだった音楽のことをいろいろと思い出したり、調べてみたりした。これらが、改めて「自由」の偉大さを思い出させてくれたような気がする。

(理科 小倉)




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