一週一言インデックス

2017年3月22日水曜日

もうひとりのあなたがあなたをみているのよ  見放されないようにね 嫌われないようにね

今週の一週一言
                                  321日~326
 もうひとりのあなたがあなたをみているのよ
            見放されないようにね 嫌われないようにね
                    ミイ 
ミイ・・・ムーミンファミリーと一緒に屋敷に住む、勇敢で怖いもの知らず、好奇心旺盛な女の子。


【如是我聞】
 私の出身高校のトイレには貼り紙があった。「神様はいつも見ている。そっと見ている。じっと見ている。」これがすべてのトイレの個室中に貼ってあるのだ。この恐ろしい光景に慣れることは三年間なかった。意図は分かるものの、違和感しか持てないこの貼り紙を見る度に、当時高校生だった私は、神様は変な趣味があるのだなと、友人と面白半分に神をからかっていたものだ。あれから数年、あの神様は自分自身の良心だったのだと、ミイに改めて思い知らされた。
「もうひとり」の自分が自分をみている。ここでの「もうひとり」というのは、未来の自分かもしれないし、過去の自分かもしれない。もしかすると、今の自分を客観的に見ている自分なのかもしれない。私は、自分の中に二人の自分が同居していると思っている(多重人格という意味ではない)。一人は周囲の目を気にしながら他人に合わせて行動する自分。もう一人はわがままで自由奔放な自分。これは本音と建前の関係と似てはいるが、少し違う。周囲の目を気にする自分も「嫌なやつ、駄目なやつだと思われたくない」という本音から生まれたものだ。つまり、どちらも自分の本当の姿なのだ。
 この二人が心の中で喧嘩を始めると、自分のコントロールがきかなくなる。私の場合は、周囲を気にする自分が出しゃばりすぎて、自由奔放な自分を圧迫する。そして、窮屈になった後者の自分が泣き叫び、わめき散らす。それからふてくされて口をきいてくれなくなる。こうなったら他人の手を借りずして事態はなかなか収束しない。このような体験が今まで何度かあった…。
センター試験前、休日は家で勉強していた。日曜、自分の部屋に籠もって必死の形相で机に向かう私。母は私の部屋に幾度となく押しかけて来た。そのたびに集中力はとぎれ、私は怒っていた。なぜかというと、母はいかにもお気楽そうに「買い物に付き合って」「一緒にドライブしよう」「温泉に行こう」という、入試直前の受験生に不向きな提案ばかりしてくるからである。こっちは勉強で手一杯なのに、一体なんのまねなのか、本気でそう思っていた。どうやら母なりに私を気遣ってくれていたようで、無意識のうちに私の中の二人の暴走を阻止しようとしてくれていたのだ。普段の母は何を考えているのかよく分からない不思議な人間だが、私以上に私のことをよく分かっているのかもしれないと、今になって強く感じる。今日もコーヒー片手に一点を見つめながら微笑み、そして頷いていることだろう。

母もそうだが、私の周りには自分が「もうひとり」の自分に見捨てられそうになった時に助けてくれる心強い味方がたくさんいる。ミイの言うように、もうひとりの自分にみはなされないように、嫌われないよう努めてはいるつもりだが、万が一のことがあれば、この心強い味方たちを頼りにしたい。頼れる人がいるということは、本当にありがたいことだとつくづく感じる。     (国語科 倉島)




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