7月 2日~7月 8日
人が旅をするのは到着するためではなく旅をするためである ゲーテ
ドイツの文豪。疾風怒濤運動の先頭に立つとともに、ヴァイマル公国の宰相に就任して政治家としても活躍。シラーと親しく、のちにはドイツ古典主義文学を大成。
【如是我聞】
「わたくしはこの歳になるまで、ただ急いで終点につくことばかりを考えていたらしい。目的を追い、結論にいたることだけに、じたばたしながら毎日を過してきたようである。一日一日に、花の香りは漂い流れているし、毎日毎日に、落花の風情が興趣を深めている。そこに眼の及ぶこともなく、終点到着だけに心奪われていた、ということになる。さて、その終点でいったい何が待っているのであろうか。愚かなことである」。・・・「それにしても、今の子供たちはどうなるのであろう。幼稚園から大学まで、そして卒業してからも一生涯、山の彼方に何かがあるように思うて、その日その日を手段化し、競馬のように鞭をあてられ、走っている。やがて終点が見えてきたとき走り疲れた人たちは、こんなことをつぶやいている。〈何もしないでジットしていたい、自分が忘れたい、できたら蒸発したい〉。こういう人間を作ることが、教育の名のもとに行われているような気がしてならない」。 『燈花集』(昭和52年)
広小路亨名誉校長の至言である。これ以上何を付け加える必要があろうか。 (や)