今週の一週一言 2月12日~2月18日 『バガヴァッド・ギーター』 バガヴァッド・ギーター 韻文詩からなるヒンドゥー教の聖典の一つ。「ギーター」とはサンスクリットで詩を意味し、バガヴァンの詩、すなわち「神の詩」と訳すことができる。 |
「執着」「欲望」「怒り」。この言葉のラインナップ、どうしてもネガティブな印象を受ける。
特に最後にたどりつく「怒り」は中でも一番良くないもの、という解釈だろうか。ヒンドゥー教の言葉だそうだが、日本にも「短気は損気」という戒めの言い回しがある。
確かに、私自身これまで無意識に「怒り」の感情を遠ざけてきた。「喜怒哀楽」のうち、「喜」「楽」はいいけど、「怒」「哀」はあからさまに人に見せてはいけないのではないか、特に「怒」は・・・なんとなく、そんなふうに感じていた。
しかし、最近よく耳にする「アンガーマネジメント」に関する本を読み、怒りに関するこれまでの認識を変えなければと考えるようになった。以下、本で紹介されていたアンガーマネジメント理解度チェックです。よかったら「Yes・No」で考えてみて下さい。
1、怒ることは悪いことだと思う
2、イライラしやすい人は、性格を改善する必要があると思う
3、怒りはいきなりバクハツすると思う
4、怒りはドカンと出してしまえば、ずっと残らないと思う
5、怒りは身近な人に限らず、誰に対しても強く出ると思う
いかがでしょうか。答えは全て「NO」です。
「怒り」は自然な感情で、誰にだってあるもの。それを無理に押さえ込むことで自分をかえって傷つけることがある。また「怒り」とは二次感情であり、「不安」「悲しみ」という一次感情がもとになって生まれることなどが本に書かれていた。
「怒りは忌むべき感情だ」私は無意識のうちにそんなふうに考えていたが、なぜなのだろう?家庭で、学校で、社会で、知らず知らずのうちにもしもそう思わされていたとしたら?
以前、ある母親の、怒りに満ちたSNSでのつぶやきが待機児童の問題を顕在化させたことがあった。「保育園落ちた 日本○○!!!」過激な一言だが、もとになっているのは、仕事ができないという悲しみや不安かもしれない。そして、「こんな日本であっていいはずがない!」という思いが、同じ悩みを抱える人を連帯させ、社会を良い方向に導いた。
「記憶にない」「裏金ではない」という言葉を繰り返すだけで、難局を切り抜けられると考える人たちを目の当たりにする今、私たちは、社会を良くするためにも「正しく怒る」ということにきちんと向き合わなければいけないのかもしれない。
(国語科 三上)
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