一週一言インデックス

2017年4月26日水曜日

遇いがたくして 今遇うことを得たり

今週の一週一言
                                  4月24日~4月30日
 遇いがたくして 今遇うことを得たり
親鸞聖人・・・「遇いがたくして今遇うことを得たり。聞きがたくしてすでに聞くことを得たり」。主著である『教行信証』「総序」の中で述べられた言葉。                     
【如是我聞】
 「もし親鸞聖人に自叙伝というものがあるとするならば、“親鸞におきては、ただ念仏して、弥陀にたすけられまいらすべしと、よきひとのおおせをかぶりて、信ずるほかに別の子細なきなり。”という『歎異抄』の一節であろう。」20年以上も前のことだろうか。私はある先生からこう教わった。先生もまた先生から教わった言葉だという。そしてこう続けられた。「よきひとを忘れる時、よきひとの仰せを忘れる時、知らないうちに私たちは師の位置に立っている。よきひととは、私たちの先を歩んでくださって、しかも私たちよりもはるかに姿勢の低いひとである。私たちが親鸞聖人を語る姿勢の、なんと傲慢なことか。」
この言葉を私は、当時愛用していた無印用品のノートにメモ書きしていた。「大事なことだ。絶対に忘れるなよ、俺。」というような意味を込めてか、すっかり色あせてしまっているが、蛍光ペンでアンダーラインを引いた跡が残っている。その先生はいつも少し恥じらいながら、ゆっくりと丁寧にそして背筋をしゃんと伸ばして語られる人だった。「私たちが親鸞聖人を語る姿勢の、なんと傲慢なことか。」とおっしゃるが、優しい眼差しで接してくださる先生のどこが傲慢なのか不思議でならなかった。
 真宗寺院に生まれたことの意味を見いだせず、ただ現実から逃げることにあくせくしていたあの頃、たまたま友人の父であったその先生に出遇った。鬱憤をまき散らす私に、「いい経験をしてますね。その悩みを大切にして下さい。」と言われた。どこがいい経験なのか、さっぱり分からなかったが、今ではよく分かる。悩みを漏らす生徒に、以前は偉そうにアドバイスのようなこともしていたが、最近は先の言葉を伝えるようにしている。「ええ経験してるなぁ。大事にせえよ。」と。大抵はきょとんとされるが、それしか言いようがないということを、先生を思い出すたびに痛感する。傲慢な姿勢はなかなか直らないが。

(宗教・社会科 山田)




トップページへ http://www.otani.ed.jp

内に目をむければむけるほど 外の世界が広がってくる 不思議な目

一週一言 9 月 4 日~ 9 月 10 日                                   内に目をむければむけるほど 外の世界が広がってくる 不思議な目 鈴木章子    鈴木 章子 ( あやこ ) ( 1...