2016年11月15日火曜日

あなたを愛している人たちは あなたが少々かっこ悪くても全く気にしない

今週の一週一言
                                  1114日~1120
 あなたを愛している人たちは あなたが少々かっこ悪くても全く気にしない
                    ちびのミイ

ちびのミイ ・・・ トーベ・ヤンソンが描く 『ムーミン』 シリーズの登場人物。怒りっぽくいたずら好きで、皮肉屋。だが悪意はない。 『ムーミン』 シリーズには、小説のほか、絵本、弟のラルスとともにロンドンの夕刊紙に連載したコミックスなどがある。
【如是我聞】
 小さいころ、ムーミン一家が私の憧れだった。あれぞ家族の理想像、とさえ思っていた。厳密に言えば、ムーミンママの家族に対する包容力に憧れたのかもしれない。
ところでみなさん、『ムーミン』について、どのようなイメージをお持ちだろうか? 「花畑のなか、暖かい仲間に囲まれる日々、ふんわりとした優しい世界」、そんなところだろうか。 ...いえいえ、とんでもない。日本ではアニメ版の影響でそういうイメージを持たれがちだが、小説を読んでみると、真逆もいいところである。春の陽気よりも、郷愁ただよう秋の情景、不安をそそる海や天変地異なんかが背景になることの方が多い。相手の気持ちを読み、どこまでも正直な、言いかえればわりと辛らつな言葉だって飛び交う。コミックスにいたっては、あれはもうシニカル・コメディだろう。そういえば、幼い私に“皮肉”もしくは“皮肉屋”という言葉を初めて教えてくれたのは、ちびのミイだったような。
登場するキャラクターも、これまたあくが強い。孤独を愛する者、臆病で泣き虫、気まぐれ、社交好き。自分や周りの人、どこかしら、誰かしらが持っているはずの一面。普段はそっと隠されがちな人間の“一”側面が、キャラクターひとりひとりに、個性的な性格として与えられている。
一家のなかでも厄介なのが、ママの愛する夫、ムーミンパパだろう。彼が求めるのは自由と冒険。「さらば、たいくつな中年の日々!青春をとりもどすために旅立とう!」とかつての親友とともに旅立つこともあれば、だれにもなあんにも告げず、ニョロニョロに憧れひとり海に出てゆくことも。これが実際の家族にいたらわりと困る。子どもながらに思ったものだ。「パパ、家庭をかえりみて! 妻も息子もいるんでしょう!」、と。息子も息子で、夢見がち。ついつい周りに流されては新しいものに手を出していく。親友のスナフキンやミイに忠告されてもやめられない。パパもムーミンも、たいがい失敗するか納得して帰ってくるところで話はオチるのだが...何ともまぁ、読めば読むほどに情けないというか、かっこの悪い夫と息子である。一度や二度ではないものだから、読んでいて私もいらっとしてくる。ママ、心中お察しします、と思うのだ。ところが驚くことに、「そのうちかえってくるでしょうよ」とママは気にしない。やりたいと言うならやらせてみたらいい、納得したら家に帰ってくる。そしてそれは、まったく毎度その通りなのだ。帰ってきた夫や息子を笑いもせず、しかりもせず、ただ、気にしない。別に無関心なわけじゃなくて、ありのままを受けとめているだけ。これぞまさしく、ミイの言うところの「気にしない」、の精神なのか。うーん、かなわない。
 さて、甘えっぱなしもいかがなものかと私は思った。私の周り、私を受け入れてくれる人たちは、たぶん優しすぎる。だから私自身には、おんなじミイからこの一言をちょうだいしよう。
「見てるわよ、あなたがしていること。神様じゃないわよ、もうひとりのあなたがよ。
もうひとりのあなたがあなたをみているのよ。見放されないようにね。嫌われないようにね。」

甘やかされている私には、“皮肉屋”ミイの塩っからい一言がちょうどいい。  (社会科 草地)




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