一週一言インデックス

2015年10月5日月曜日

常識とは十八歳までに身につけた偏見のコレクションだ

今週の一週一言
                                  928日~104
 常識とは十八歳までに身につけた偏見のコレクションだ
                    アインシュタイン

アルベルト・アインシュタイン(1879~1955) ・・・ ドイツ生まれのユダヤ系理論物理学者。相対性理論を発表。ナチスの迫害をさけて、1933年アメリカに亡命し、戦後は平和運動に努めた。

【如是我聞】
 母親にしかられるときの決まり文句がある。「あんたなぁ、常識的に考えてみられぇ!分かるじゃろ!」。これを言われたときに思うことはいつも同じ。「そんなん言われても知らんかったんじゃもん!一般常識だろうがなんだろうが、知らなかった私にとっては常識じゃない!」。もちろん怖いから、口に出したことはない。父親は父親で、「○○○は知ってるよね?」とよくたずねてくる。たいがい知らないことが多いので、「ううん」と答えると、沈黙が返ってくる。この沈黙が長いので、「それって有名?」と聞くと、「……。一般的な常識かもしれないね」と、遠慮がちに言われる。少し残念そうな顔で。…母親にしかられるより、なんとなく哀しい。
 そんなわけでというのもおかしいが、「常識」という言葉は昔から苦手だ。だからアインシュタインのこの言葉に出遭ったとき、大きな味方をつけたみたいで少し嬉しくなった。そういう意味じゃない!とアインシュタインに怒られるだろうが。だが実際、常識とは、何をもってそう呼ぶのだろう。常識のない人間と言われたくはないが、いかにそのことが当たり前で大勢の人に共有されていても、それにたまたま出遭わず、知らないままで大人になることも多い。結局のところ、人によって常識の範囲は異なるのではないか。
 まぁしかし、きっとそんなのは言い訳だ。ものごとを知らなすぎる自分を棚あげした、子どもの考える屁理屈にすぎない。ともあれ、そんなことをブツクサ思いながら大人になった私もまた、今まさに、教壇で偉そうな物言いをしているのだろう。ついつい口にしてしまう、「○○○ってよく聞くよね?」という言葉。キョトン、とされるとなんだか残念な気持ちになってしまう。共有できなかったのがなんだか寂しいのだ。苦手だった「常識」を、今度は何気なく誰かの前にちらつかせている。大勢が知っていそうなことを自分は知っていて、それを知らない誰かを相手にすると、「そんなことも知らないのか」と上に立ってしまう。なんのことはない、結局自分本位な私を見つけただけだった。

                            (文責:社会科 草地)




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